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副腎の病気:副腎腫瘍
   副腎腫瘍は様々な副腎由来のホルモンを分泌するホルモン活性型副腎腫瘍とホルモンを分泌しないホルモン非活性型副腎腫瘍に大きく分けられます。 
 副腎腫瘍は大きさが5cm未満の場合、ほとんどが良性腫瘍です。しかし、ホルモン活性型副腎腫瘍はその分泌するホルモンによって様々な症状を呈するため、摘出手術の適応となります。
 ホルモン非活性型副腎腫瘍の場合は経過観察をすることがありますが、時間の経過とともに腫瘍径が大きくなるものは、がんの可能性があるため手術をお勧めすることがあります。どれくらいの大きさから手術を行うかといった明確な基準はありませんが、患者さんご本人の希望も含めて手術を行うかどうか考慮します。しかし5cmを超える大きさの腫瘍は悪性の可能性を否定できませんので、手術をお勧めすることが多いのが現状です。
 手術法に関しては、大きく患側の副腎を全部摘出する副腎摘除術と、部分的に切除する副腎部分切除術に分けられ、それぞれ開放手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術などの方法があります。
 副腎部分切除術は、副腎腫瘍が比較的小さく正常副腎との境界が明確な場合や、両側副腎腫瘍の場合に適応となります。しかし、残存した副腎機能が十分である確証はなく、また腫瘍が再発する可能性が数パーセントから数十パーセント報告されているため、特別な理由がある患者さんにのみ行われる手術で一般的ではありません。
 副腎摘除術は患側の副腎をすべて摘出します。手術法としては、体幹に5mmから1cmの穴を3〜4ヵ所あけ、そこからカメラや鉗子等を入れてモニターを見ながら腫瘍を摘出する腹腔鏡下副腎摘除術が主流となっています。2022年4月にはロボット支援手術も保険適用となりました。これらの手術の利点として手術創が小さくて済み、出血や術後の疼痛が少なく、回復が早いことが挙げられます。一方、開放手術は腹腔鏡下手術やロボット支援手術では摘出が難しい副腎腫瘍が適応となります。具体的には大きな副腎腫瘍の場合や、開腹手術の既往があり高度の癒着が予想される場合などです。手術創が比較的大きくなるため、腹腔鏡手術やロボット支援手術に比べ術後疼痛が強く、回復が遅くなる傾向があります。


ホルモン活性型副腎腫瘍

クッシング症候群

コルチゾールというホルモンを過剰に分泌する腫瘍が副腎にできる疾患です。女性に多い疾患で、高血圧や糖尿病、肥満のほか、満月様の顔立ちや、毛深くなるなどの症状が出てくることがあります。手術により片方の副腎を摘出した後、ステロイドホルモンの内服補充が必要になることがあります。

原発性アルドステロン症

アルドステロンというホルモンが過剰に分泌される腫瘍が副腎にできる疾患です。アルドステロンは血圧を高くする作用を持っているため高血圧の原因となります。高血圧患者の5〜20%を占めるといわれており、ホルモン検査を行い診断します。また、アルドステロンにはカリウムという電解質を尿から排泄させる働きがあり、血中のカリウム値が低下することによって手足がしびれたりする症状がでることもあります。原発性アルドステロン症は、頑固な治療抵抗性高血圧を示し、高血圧が長期間持続することによって脳心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)になる可能性を高めます。そのため、腫瘍の大きさが小さくても外科的な切除の適応になります。

褐色細胞腫

髄質由来の腫瘍からカテコールアミンというホルモンが過剰に分泌されておこる疾患です。動悸、頭痛などの症状、高血圧、糖尿病などがみられます。時に高血圧クリーゼという、適切に治療されなければ致死的になる異常高血圧症を来すことがあります。また稀に悪性腫瘍(がん)であることがあります。そのため原則的に外科的切除の適応になります。

ホルモン非活性型副腎腫瘍

ホルモン分泌の異常がない腫瘍のことです。全例が治療の対象となるわけではありません。ただし、時間の経過とともに腫瘍径が大きくなるものは手術をお勧めすることがあります。また5 cmを超える大きさの腫瘍はがんの可能性を否定できませんから手術を強くお勧めします。
2023年7月更新
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