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尿路結石症
  尿路結石症について

1. どんな病気?

 尿路結石とは、水に不溶性のカルシウム塩や尿酸塩などの結晶が尿中に排泄され、成長・凝集して固まったものです。結石の存在する場所によって、上部尿路結石症(腎結石、尿管結石)、下部尿路結石症(膀胱結石、尿道結石)に分けられ、我が国では約96%が上部尿路結石症と言われています (図1)。 更に、我が国における上部尿路結石症の多くはカルシウム含有結石であり、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病との関連が示唆されており、特に日本人男性において結石患者は肥満率が高く、肥満との関連も示唆されています。また2005年の調査によると、その罹患率は1965年の3倍に増加しています (図2)。 これらの事より、日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生の間に一度は尿路結石症に罹患する計算になります。
   
 
 
図1 結石の介在部位による名称1)
上部尿路結石症(腎結石・尿管結石)
下部尿路結石症(膀胱結石・尿道結石)
   
 
 
 図2 1965〜2005年における尿路結石症罹患率の変化2)
   
  2. どんな人が尿路結石になるのですか?その原因は?

 現在、我が国において、尿路結石症の殆どは上部尿路結石であり、その多くはカルシウム含有結石と言われています。前述のように尿路結石症は一般的な病気として知られている半面、その原因については依然不明の点も多く、再発予防にも明確な方法がないのが現状です。
年齢別の尿路結石罹患率については、男性は40歳代にピークを認め、女性は50歳以降に増加傾向が認められます(図2)。原因としては、男性では偏った食生活や生活様式の欧米化、不規則な日常活動などが言われており、更には生活習慣病が増加する年代でもあります。また女性では閉経による性ホルモン環境の変化が大きな原因と考えられています。
一方、下部尿路結石症の原因としては、上部尿路から下降した結石が排石できずに膀胱内で成長したものや、寝たきりなどで尿道に管(カテーテル)を留置され、それが核となって結石が形成されたケースが多いようです。いずれも排尿に関する基礎疾患が存在しており、結石成分も尿路感染に伴う感染結石や尿酸結石が多い傾向にあります。

3. どんな症状?

尿路結石症の症状は結石の介在部位によって異なります。上部尿路結石症の腎結石の場合、背中の鈍痛や血尿(顕微鏡的血尿)が主な症状である事が多く、無症状の事もあります。検診の際、超音波検査で偶然発見されるケースも多く認められます。一方、結石が尿管に下降して尿管結石となった場合には、突然の背中や腹部(側腹部含む)の激痛や肉眼的血尿などの症状が認められます。また悪心、嘔吐(吐き気)、冷汗などを伴うこともしばしばあり、時に急性腹症としてショック状態に陥り、救急車で搬送されるようなケースもあります。更に結石が膀胱近くまで下降してくると、側腹部痛や下腹部痛と共に尿意切迫感(急に尿意を感じて我慢できない)、残尿感(何度も排尿してもスッキリしない)といった症状を伴う様になります (図3)。また一般的には結石のサイズと痛みの程度は比例しないとされています。
下部尿路結石症においては、膀胱結石では排尿時の膀胱刺激症状(痛みや頻尿など)と肉眼的血尿が主な症状です。時に結石が尿道に嵌頓して尿道結石となる場合もあります。尿道結石の場合、多くは結石を排出する際の尿道の痛みや違和感を認めますが、結石が尿道に嵌頓すると、尿閉という尿が出せなくなる状況になるケースもあります。また尿道に管(カテーテル)が留置されている場合には、これらの症状が乏しいため発見が遅れるケースがあり日頃より尿の性状を観察しておく事が重要です。
更に最近では、高齢者・糖尿病・長期臥床などの人に尿路結石症を発症するケースが増えています。この様な人は元々感染に対する抵抗力が低下しており、容易に腎盂腎炎などの尿路感染症、更には敗血症に至り生命を脅かすような重篤な状態となるケースも増えています。
   
 
 
図3 上部尿路結石の介在部位による痛み3)
   
 

4. どんな検査がありますか?

一般的に次のような検査を行って診断します。

(1) 尿検査:血尿(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿)や尿路感染症の有無を調べます。尿路結石症の診断において必須の検査ですが、全く異常所見を認めない場合もあります。
 
(2) X線検査:腎臓から膀胱まで含めた腹部単純(KUB)を撮影し、結石の存在部位、大きさなどを確認します(図4)。単純撮影だけではっきりしない場合や、レントゲンに映らない結石(尿酸結石など)の場合、造影剤を用いた尿路造影検査をする事があります。
   
(3) 超音波(エコー)検査:レントゲンに映らない結石や腎臓などの状態を見るのに適しています。非侵襲的検査であり、尿路結石症の診断において必須の検査です(図5)。
   
(4) CT検査:最近では腹部をくまなく検査できるマルチスライスCTが簡単に撮影できるようになり、尿路結石症の診断において重要な検査となっています。尿路結石の診断を容易にしているだけではなく、多臓器の除外診断もできる事より広く行われる様になっています(図6)。
   
 
 
図4 KUBによる尿路結石陰影3) 図5 超音波検査による尿管結石と水腎症3)
   
 
図6 CTによる左尿管結石画像3)  
   
  5. どんな治療がありますか?

治療法には、薬物で治療する保存的治療と手術で治療する外科的治療があります。
 

<保存的治療>

(1) 5mm未満の結石の自然排石率は68%、5-10mmの結石の自然排石率は47%と言われています4)。よって5mm 未満の小さい結石であれば、結石が排尿とともに排出する様に、水分を多く摂取して頂きます。排石促進剤(尿管の蠕動を促して排石を助ける薬)などを使用することがあります。

(2) 痛みに対する治療薬は、一般に非ステロイド系消炎鎮痛剤を使用しますが、痛みが激しいく効果がない時は非麻薬性鎮痛剤を使用するケースもあります。

(3) 結石が嵌頓し自然排石が困難と判断される場合や激しい痛みが続く場合、さらには感染症を併発している場合などには、結石の部位やサイズに関わらず外科的治療が行われるケースがあります。

<外科的治療>

10mm以上の結石は積極的治療の適応とされますが、無症状の腎結石や、外科的治療にリスクを伴う人では経過観察するケースもあり、個々の患者さんの状態をみて判断します。

(1) 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL):衝撃波発生装置から発生される衝撃波で体外から結石を破砕し、小さな破砕片として結石の排出を促す治療です(図7,8)。これまで我が国でもっとも一般的に行われている治療法です。外来治療も可能ですが、結石の介在部位によっては破砕が困難であったり、結石の破砕が不十分で自排石しないケースもあります。

(2) 経尿道的尿管結石砕石術 (TUL):尿管鏡という細いカメラを尿道から挿入し、尿管内の結石を直接確認して各種の砕石装置(レーザーや圧縮空気破石装置など)を使用して砕石します。麻酔下に行う必要があり、一般に短期間の入院が必要となります。直視下に砕石して破砕片の除去が可能(場合によってはすべて除去)な事や近年尿管鏡の細径化や画像の進歩に伴い導入する病院が徐々に増えており、その頻度は増えています(図9,10)。

(3) 経皮的腎砕石術 (PNL):腎臓に直接背中から管を通し、専用の内視鏡と砕石装置(レーザーや圧縮空気破石装置など)を用いて砕石します。TUL同様に麻酔下に行うために入院治療が必要となります。腎臓の大きな結石(サンゴ状結石)などで行われることが多く、また前述のESWLやTULと組み合わせて行うこともあります。手術侵襲はもっとも大きくなりますが、大きな結石を効率良く取り除ける利点があります。大きな結石では安全性を優先して、数回に分けて手術を行うケースもあります(図11)。

(4) 経皮経尿道的結石砕石術 (TAP:TUL Assisted PNL):TULを併用してPNLを同時に行う治療法です。TULによる細かな操作とPNLによる結石の除去効率が最大のメリットです。あらゆる位置と大きさの結石に対応できます。近年は治療(結石除去)効率の良さから多くの施設で導入され始めています。ただし、同時に2つの手術を行うために複数の内視鏡を操作する必要があり、複数の術者が必要であるなどの問題があります。

(5) 開腹手術:約20年以上前では尿路結石に対する外科的治療の一つとして行われていましたが、現在は内視鏡の進歩などによりほとんど行われません(図12)。極めて稀なケースに行われる程度です。ただ近年では腹腔鏡手術の技術が飛躍的に進歩しており、以前では開腹手術で治療していたような症例においても腹腔鏡手術での低侵襲治療が可能となっています。
   
 
 
図7 体外衝撃波結石破砕術の原理1) 図8 超音波にて結石に焦点を合わせ治療中の画像3)
   
図9 硬性尿管鏡を用いたTUL1) 図10 バスケット鉗子にて破砕片を採取1)
     
図11 PNLによる腎結石の砕石1) 図12 開腹による腎切石術1)
   
  6. 予防策はありますか?再発の予防策は?

 前述の通り、現在我が国の尿路結石症の殆どはカルシウム含有結石であり、明確な再発予防策が無いのが現状です。ただ一部には再発予防が可能な結石(尿酸結石など)もあり、自排した結石を採取できた際には、必ず結石分析をされる事をお勧めします。
また近年、「尿路結石症は生活習慣病である」との考えから、再発予防に際し日常生活で気を付けて頂く事項として、まず第一に1日2リットル前後の水分摂取を行う事です。さらには不規則な日常行動を改め、夕食から就寝まで最低4時間あけるようにする事、また食生活に関しては、動物性蛋白や脂肪、塩分、糖類の過剰摂取を控え、野菜を中心とした規則正しい生活を送る事が重要と考えられます。また、以前は再発予防目的にカルシウムの摂取制限を指導していた時期もありましたが、元々日本人はカルシウムの摂取量が不足しており、過剰なカルシウム摂取でなめれば特に制限はありません(表1)。
一方結石のカルシウム結石の主成分となるシュウ酸は、ほうれん草、タケノコ、チョコレート、紅茶などに多く含まれ、過剰摂取は好ましくないとされています。カルシウムを同時に採取すると、尿路結石の形成が抑制される事が知られており、ホウレン草やタケノコにかつお節をまぶしたり、紅茶にミルクを入れるのは理にかなった摂取方法と言えるでしょう。

表1 尿路結石症再発予防に対する食事指導2)
 
 
   
  参考文献
 
   
1) 系統看護学講座 専門11 成人看護学[7] 腎・泌尿器疾患患者の看護 (医学書院)
2) 日本尿路結石症学会(編) 尿路結石症のすべて (医学書院)
3) 新 図説泌尿器科学講座 第2巻 尿路結石症, 尿路感染症, 炎症疾患 (メジカルビュー社)
4) 尿路結石症診療ガイドライン 第2版 日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会・日本尿路結石症学会(編) (金原出版)
 
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